━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           □■□ 復職支援指導のポイント □■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ うつ病の基礎知識−−うつとは、脳の病気:神経伝達物質の機能低下 うつ病の治療−−−−1休養 2服薬 3周囲のサポート 復帰〜精神医学の捉え方:完治=寛解 →完全に治してから復帰=非現実的             回復=症状の消失が2ケ月以上続くこと             症状がある程度良くなったら復職を検討する 復帰の段階とは−−−・うつ病初診患者の回復率(日本うつ病学会発表)             1ケ月以内=20〜30%             1〜3ケ月以内=50%                18ケ月でも回復していない=15%             治療してうまくいけば、3ケ月程度で復職を考える           ・再発することが多い病気(同上)             1年以内再発=30%             5年以内=40〜60%             再発まで2年半〜5年:中央値 復帰の大前提  ・症状が良くなっている →本人の感覚が大事(復職面談時に要確認)               50%〜60%回復=×−−本人が復職を焦る               80%〜90%回復=OK  ・睡眠が完全に回復している →質も量も取れているか  ・朝の起床時間とその時の気分は重要  ・生活リズムが戻っている →2W位は、朝出社のリズムで生活指導を促す  ・本人の復職に対する意思が有るか無いか−−復職への焦り、周りへの懸念 医師の職場復帰可能診断書について  産業カウンセラーの立場では、絶対に鵜呑みにしてはいけない  ダメ元で復職診断書を書く場合もある  医師は患者の会社業種や仕事の詳しい業務内容まで理解は不可能(産業医は可)  →会社は会社で本当に復帰可能かどうかを吟味する必要がある! 主治医からの意見収集に関して、医師との面接をする場合の注意点  全て本人の同意を得てから、必ず事前APO取り後訪問すること   医師との面接費用はだれが支払うのか(会社か本人の健康保険使用か)  謝礼は常識的に絶対必要〜今後のためにも 会社としての復帰判断における重要事項  ・働く意欲の有無  ・一人で始業時間に通勤可能かどうか  ・決められた勤務時間の間、ずっと会社に居られるのかどうか  ・仕事ができるだけの注意力や集中力が回復しているかどうか  ・昼間の眠気がないかどうか  ・その日の疲れがその日のうちに回復しているかどうか〜その週で回復可か 復職面談をしてみて、本人が諸事項に耐えられない場合には、  復職不可能の判断を会社へ提出する  →主治医が可でも復職不可の場合(業務内容や職場の受け入れ体                   制等々の問題にて)は多々発生する! 受け入れ側としての判断事項  戻しても良い職場環境が準備できているのかどうか→産業カウンセラーが確認  無理:生活リズムを取り戻すためのリハビリを、自宅療養の中で指導する 復職可能かどうかの判断は、会社で独自に判断していかなくてはならない  その為の必要な情報収集や本人との面談、職場調整等が重要   復職プログラム作成のノウハウと◎注意事項  ・2〜3ケ月に渡る段階的な復職プログラムを作成する   cf)1:1/ 1〜15 8:30〜12:00 半日勤務      2:1/16〜末日 8:30〜15:00 6時間勤務      3:2/ 1〜末日 8:30〜17:30 通常勤務      但し、1〜3期間は残業厳禁とする  ・3ケ月間は、残業無しのプログラムが最良  ・1ケ月以上の休職者=少なくても3ケ月位は復帰に時間がかかる  ・うつ病疾患者は、断れない/noと言えない方が多いので、余計な仕事の負荷が   かからないようにプログラム作成は復職には大切  ◎リハビリ勤務の取り扱いについては、メンタル導入時に会社としての   取り扱いを事前に決めておく必要がある      →リハビリ勤務期間の給与の取り扱い、人事考課の取り扱い、     有給や傷病手当の取り扱い、通勤途上の災害やケガの取り扱い、等々     cf:試験出社の期間は療養期間と含める為、勤務ではない、        従って給与対象外とする 等  ◎会社と労働組合へ、精神疾患社員の自宅療養期間、リハビリ勤務期間の取り扱い   に関する、就業規則の附則を作成するように指導する必要がある   会社と労働組合の合意として「健康管理規定」等、枠組みやシステム作成の助言    が重要になる →メンタルヘルスの推進、浸透には不可欠 復帰先の職場について  ・原則は、元の職場へ復帰させる−−慣れている業務の方が負荷軽減になる  ・配転が望ましい場合でも一旦は元の職場へ復帰させて、定期異動で異動させる  ・上司のパワハラで精神疾患になった場合=人事と調整して、復帰から配置転換   先の新職場とする 復帰時の業務内容  ・病気の症状の改善と、業務遂行能力の改善には、ずれがある!   半年位は60〜70%程度の能力しかない、うつの回復=三寒四温  ・半日業務期間:指定業務無しで、身の回りの片付けやメールの整理、休んでいた   間の業務の申送り、単純作業、等→1日居るだけでもぐったりする程疲れる!  ・リハビリ期間中厳禁の業務内容   ものを考える仕事、突然変化する内容、期限がある仕事、出来なかった場合に   多人数が負荷を追ってしまう業務、責任がある仕事、対人関係が係る仕事 等   cf:皿洗いや洗濯は可、食事メニューを毎日考えるは不可 会社はどこまで精神疾患の社員を面倒見なくてはならないのか  ◎期間を決めて復職支援をしていくことが最重要=2〜3ケ月位   業務上の配慮を上司や周囲の社員へ依頼するのだが、限りなくは無理   →あいつだけ何で、我々はこんなに負荷がかかって、という不満が発生する    面倒見の良い上司程、気を使いすぎて上司自身がうつになってしまう    周囲が巻き込まれてしまい、士気の低下・不調者の発生に直結してしまう   2ケ月で無理なら延長も可、とするが、+1ケ月の範囲が限界 →現実   ◎復帰に際しては最大の支援を約束、会社の支援も理解も指導する、   支援プログラムも延長1ケ月は可能を言う、但しラストチャンス、であること   を本人へ申し伝える、支援期間内で復職ができなかった場合には、治療に専念   してもらうことをはっきりと申し出る →本人も本気で治そうと意志が固まる      復帰後のフォローアップが再発防止のポイント  ・3ケ月を過ぎて半年位経つと、バリバリ以前のように働けるようになるのが多い   ので、無理をしがちになって再燃が出てくる →3ケ月間は要注意期間                         3ケ月以内にぶり返す事が多い  ・再発=一旦良くなったものが、又ぶり返すこと   再燃=良くなりかけたものが、元に戻ってしまうこと  ・復帰後のフォローアップ面談:半年位までは毎月1回面談実施   以降は2ケ月毎に面談1年〜2年間実施(藤井)  ・フォローアップ面談で必ず指導すること   1:服薬:水での服用を指導、軽快になっても途中で止めないこと   2:外来受診は医師の指示に必ず従って通うこと   3:アルコール厳禁指導:記憶障害の発生、薬の作用が強く出る場合がある     復職がうまくいかない場合  ・職場の問題:受け入れ体制の不備、業務の内容に無理がある →上司へ指導  ・本人の問題:気質、性格の問題で長引く(抑うつ神経症、神経症系)          →認知療法を早期の段階で指導開始する           創元社 大野裕著 「こころが晴れるノート」自習帳           服薬と外来の中止 →厳重指導〜半端な治療では回復不可能  ・医師との関係:相性が合わない →状況を確認して転院の指示を出す場合もある ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━