━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           ◇◆ ストレスチェック結果総括、一考察 ◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  *大寒波の中、いかがお過ごしですか。   今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。  *昨年多くのストレスチェック結果を精査分析した総括として、一考察を申し上げます。  □厚生労働省プログラムでの高ストレス者の評価基準は、概ね全体の10%です。   しかし、組織ごとに実にばらつきがありました。組織人数100名以上で見てみると、   ●最高値=26,6%、最低値=2,4%という結果でした。   私の持論に「人間関係の良し悪しは、空気感に出る」があります。   高ストレス者の比率が20%前後や20%以上の組織では、空気感がピーンと張りつめて   いて、暗く重く、ニコニコしている社員は皆無です。   反対に高ストレス者の比率が5%以下の組織での空気感は、穏やかで明るく軽快で、皆   が笑顔で仕事をしています。この差が正しく数字に表出するのです。   なので、私は新規の顧問契約先に伺った時、職場の空気感を重要視しています。  □当方のストレスチェックは、厚労省の職業性ストレス簡易調査票(国が示す標準57項目)   に加えて、生活習慣アンケートも実施しています。   ストレスチェックで本当のことを記載できずに手加減をしても、生活習慣のアンケート   で食事・睡眠状態、アルコール・たばこの過多、身体症状やサポーターの有無を把握し   ご本人とカウンセリングをした結果メンタル不全な方々を治療へつなげてきた臨床経験   があるからです。   生活習慣の結果は、当方基準での有所見率が●最高値=97,1%、最低値=79,5%でした。   常時保健師がいる顧問先は皆無ですが、産業医の保健講話やメンタル研修を当たり前の   ように会社の年間予定に組み入れている組織は、やはり社員の健康に関する意識が高く、   有所見率が低値になっています。   社員の健康を最重要視しているかどうか、経営者の意識の差が表出します。  □仕事のストレス要因・心身のストレス反応に関しては、組織ごとに本当に様々でした。   しかしどの組織でも、カウンセリング現場での実感値がそのままデータに出ていました。   データによる組織現状の見える化は、本当に重要だと痛感しています。  □周囲のサポートについては、●上司のサポート不足よりも同僚のサポート不足の方が、   圧倒的に多いという結果になりました。   この背景には、各人が業務量過多で同僚が大変な状況であることをわかっていても支援   する余裕が無いという厳しい現実があります。更に能力別人事評価の導入で、互いがラ   イバルになっていることも影響していると思います。  □仕事のストレス判定図については、厚労省プログラムでは全国平均の総合健康リスク値   は100としています。このデータが例えば123の場合には、全国平均的職場の23%増   しで、健康問題が生じやすくなっていると判定されます。   この総合健康リスクが120を超えている場合には、既に何らかのストレス問題が発生し   ている場合が多いので、ストレス対策の必要性が高いと判断されます。   この結果を組織人数100名以上で見てみると、   ●組織全体での最高値=133、最低値=74、●部署別での最高値=168という結果でし   た。やはり総合健康リスクが120以上の組織では、既に何らかのストレス問題が発生し   ており、140レベルになるとメンタル不調の社員が続出しています。更に140以上の組   織では、過去に労災等でご不幸な事案を経験していることが散見されます。   仕事のストレス判定図は、・仕事のコントロール・仕事の量的負担・上司の支援・同僚の   支援の4軸で判定されます。仕事の量的負担の得点が高くても、仕事のコントロールの   得点が高ければ、「量−コントロール」の健康リスクは低くなります。   また「量−コントロール」の健康リスクが高くても、上司や同僚の支援という「職場の   支援」の健康リスクが低ければ、総合健康リスクは低くなります。<中災防研修より>  *ストレスチェック制度では、個人の結果は本人の同意がない限り事業者へ通知すること   はできませんが、ストレスチェックの集団分析結果は、実施者が事業者へ提供できます。   当方では私が顧問先の役員会に出席して、ストレスチェックの集団分析結果を申送りし   ています。このデータは現場の中間管理職ではなく、経営者や役員こそ知るべき内容だ   と実感しているからです。   ある上場企業の役員は、「藤井先生、このデータは経営者への通信簿ですね。正しく、そ   の通りの結果でビックリしました。」と仰っていました。   他の顧問先でも見事に同じ感想をいただいています。  *今年は、既に昨年の5倍のストレスチェックを受託致しました。   総力を挙げて対応し、プロ中のプロとして精査分析をしていく所存です。   更に、職場環境の改善をするために、カウンセリングを実施して正確な組織の現状把握   をしながら、当方の付加価値である人事労務の経営コンサルを展開して参ります。   どうぞ宜しくお願い申し上げます。                                       以上